輪転機とパラノイア

松戸での暮らしや推し事

小劇場と面会の話。(推しを追いかけていたら小劇場に来てしまったあなたへ)

※これは2017年に書いた記事です。読み返すとともに、ですます調に編集してみました。時代が変わってしまいましたね。面会もできないご時世になってしまいましたが、懐古したり、またこれができる時代になることを願ったりしながら愛してくれると嬉しいです。(2020.7.16追記)

 

はじめに

私の推しは小劇場の出演が多い役者です。昨年の秋にある仕事をしてからファンがとても増えました。その方たちとの会話の中で、「小劇場の面会という文化が初めてだったから最初は分からなかった」という話題になりました。また、そういう声を他でも耳にしました。

「客として見る」という一方向のみの構図のみで成立していた推しと自分の関係性に、「直接会って交流する」という関係性が加わる。それだけでも人によっては困惑するけれども、それに対してやり方や注意事項がなんら示されていないので、多くの人が困惑する。

無論、推しに会える機会は貴重で喜ばしいもの。よく分からなくてそのような機会をみすみす逃してしまうのは大変勿体無い。

「小劇場 面会」で検索しても、「知り合いの舞台を見に行くのですが...」というものが多く、「ただのおたく」が推しと面会する状況においては参考にならないものが多い。
なので、私の経験から知り得たことを書き連ねて何か参考になれば...と考えました。皆が楽しいおたく生活を。さあ、サザエさん風に本題を紹介しましょう。
さーて!今週の観劇おたくさんは〜?
1.面会とは
2.面会のルール
3.面会攻略法
の三本立てで〜す!

1.面会とは
ここではひとまず、「終演後に役者がロビーや客席等に出てきて会えるシステム」と定義します。言い方は様々で、「見送り」「客出し」と言うこともあります。
小劇場で面会が行われる理由は複数あるように思いますが、一つは場所の問題です。小劇場は楽屋が狭く、関係者に楽屋に来てもらって挨拶することがスペース上難しい劇場が多い。結果的に客席やロビーに役者が出てくる事になる(小劇場が多い役者だと、楽屋面会ができるような大きい劇場でもロビーに出て来てくださることもあり、「面会は文化」といつぞやのトレンディ俳優のようなことを言いそうになった)。

2.小劇場面会のルール
ルールなどない(言い切り)。
小劇場と一口に言えども役者個人・劇団・会場等によってそれぞれやり方が違います。だから「あの劇場はOKだったのに!」「あの役者は○○してくれたのに!」という理屈は通用しないのです。劇場都合、時間的制約、劇団の方針等の事情があります。そういう状況に遭遇した場合は、「ここはこうなんだと思いましょう。」また、善良なおたくは断られた時に「迷惑なことをしてしまった...」と落ち込んだり恥じたりしないでほしい。「この劇団はこういうやり方なんですね、失礼しました」でOKです。それであなたは良いおたく。

3.面会の攻略法
良い言葉が思い浮かばなかったのでこうなってますが、本来の意味では、面会にルールもなければ攻略法などもない。しかしながら、大体の流れというのは存在します。

終演後、大抵はスタッフさんから「面会はどこどこで行います」と説明があります。言われなければ近くのスタッフに確認しましょう。面会はロビーか客席が多いです。ちなみに私はシアター711の外面会がとても好きです。周辺の雰囲気も相まって下北沢で観劇したんだなーって実感するから。

役者は汗を拭き、水分を補給し、着替えた後に出て来ます。(衣装のままの人もいる)。どちらにせよ間が空くから、アンケート書いたり物販見たり花見たりチラシ見たりして待ちましょう。化粧も直しときましょう。接近戦。

小劇場の面会は、身内、友達、役者仲間、おたくと様々な人種がいる。面会の順番は決まっていないが、役者はその日行くよ!と連絡があった身内・友達・役者仲間を探し、来てくれてありがとーなどとお話ししています。ただのおたくがこの段階で面会をするのは違うと私は思っているので、役者の様子を伺いながらアンケート書いたり物販見たり花見たりチラシ見たり化粧を直したりします。
おたくが面会に「ありつける」のは、役者が挨拶を終え、ちょっと暇に見えたときだと思います。挨拶を終えた後の役者は、楽屋にすぐ戻る人と出口で皆を見送る人に大体分かれる。推しが前者の場合はぐずぐずしてたらチャンスを逃すからすかさず行きましょう。他のおたくと話してたら、少し近くに寄って待ってみる。同じおたくなのでさっきほど遠慮はいりません。

役者も知らない人に話しかけられると若干警戒する。自分に置き換えても。知らない人に突然話しかけられるはちょっと怖い。そのためおたくが役者に話しかける第一声は、話しかけた理由を簡単に提示してあげるといいと思う。舞台の感想であれば分かりやすいが、それ以外だと「以前○○を見たのがきっかけで、今回見に来ました」とか。ツイッターやブログのコメントをしてたら、「いつもコメントさせていただいてる○○です」と言ってもよいと思います(認知を求めるのではなく、身元を明らかにする目的で)。おそらく、警戒を解いてくれるはず。そこからは話したいことを話しましょう。ただ、あんまり引き止めすぎないこと。他にも推しと話したいおたくがいるかもしれないし、まだ挨拶しきれていない人がいるかもしれない。劇場の撤収時間もあります。でも自分のおたくを役者は無碍にはできないから自分から切り上げられない。ルールがないときは節度が大事(←ここ黄色マーカー)

握手、サイン、写真は特に役者によって対応が分かれるところです。役者がこれらで収益をあげている場合(握手会、サイン会をやっている)は、お見送りがあってもこの辺は禁止になっている。これらを応じてくれる人であっても、収益にもなりえるところをファンサービスでやっていただけている、という意識を忘れてはいけないと思う。しかし役者側から色々やってくれようとする場合は、過度な遠慮は必要ないと思う。

面会がある場合は、差し入れを直接お渡しすることが多い。何が喜ばれるかなどはおたくには分からない。本当に知りたかったら推しに聞きましょう。私の経験上、たくさんもらう人にとってはなんでも荷物だし、あまりもらわない人にはなんでも喜んでいただけます。ここだけは気をつける!というのは、自分が知らない人からもらって怖いものは差し入れしないこと。生ものとか手作りのものとか。
私は千秋楽は手紙だけにしている。役者は荷物を持って帰らないといけないし、打ち上げもするだろうから、ここで大きいものあげるのは特に邪魔になると思っている。

 

おわりに
諸々書き連ねてきましたが、あくまでも私が経験した小劇場での面会での話であり、もしかしたらルールや攻略法が明確に存在している小劇場界隈もあるのかもしれません(それはそれでおもしろそうなので教えていただきたい...)
小劇場の面会は、おたく的には副産物みたいなものだと思っている。役者の本心など分かるわけもないが、面会で直接交流できて本当に嬉しいと思っている人も、内心だるいと思っている人もいるはず。また、劇場の中で行われている公式の接触行為であり、時間の制約があるので出待ちともまた違う性質のものである。結局のところ、よく分からない。でもせっかくそういう機会があるんだから、話しかけたかったら話しに行ったらいいと思う。思わぬ話が聞けたりもする。皆様のおたく生活が楽しく充実したものになりますように。